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「建築の旅」2

2022.10.03建築の旅

こんにちは。

今回はボストンの北、ニューハンプシャー州にあるルイスI.カーン設計のエクセター図書館です。ボストンからアムトラックという電車かグレイハウンドという高速バスで2時間くらいのところで、比較的行きやすかったこともあり、留学中に3回ほど見に行った大好きな建築作品です。
エクセター高校の附属図書館で、キャンパスの中に溶け込むような外観は、東海岸でよく見られるレンガ造の倉庫のように控えめで、権威的なところは少しもありませんが、それでいて、威厳があり、堂々としています。


1階は外周が低い回廊になっていて、その一部がエントランスになっています。
入り口をはいると小さなホールに階段があり、それを上がると、
中央の吹き抜けのホールに入ります。
ホールは思いのほか小さく感じられました。9m角ほどだったと思います。



上の階から見るとこんな感じ。
コンクリートの入隅に45度に振れた柱の面がでることにより、立方体の吹き抜けが円筒形に近く感じられたのが不思議でした。
カーンの建築は近代建築でありながら古代の建築のような人のスケールをこえる壮大なスケール感があります。このホールに立つと、ここが人類の叡智に触れ、宇宙の真理を追求するための神聖な場所だということを一瞬にして理解することができます。それはローマにあるパンテオンに足を踏み入れた時と同じ感動でした。
近代の建築でも、こんな感動が作り出せるんだぁ!と、いままで建築を勉強して来て本当に良かったと、なぜか自分が誇らしく感じられたことを今でも覚えています。


これは建物の外周部にあるスペースで、キャレルと呼ばれる個人が読書や勉強をするためのブースが外壁に沿って並んでいます。
キャレルには一つ一つ小さな窓が付いていて、板戸を引くことで明るさと景色を調節できるようになっています。
ここには中央ホールの壮大なスケール感とは対極の、個人が書物に向き合うための小さな空間が丁寧に作り込まれていました。カーンの建築の素晴らしさは、一つの建物の中にこのまったく対極的なスケール感が共存していることにあることだと思います。
カーンに限らず、名建築とはそういうものかもしれません。


つぎはディテール。
どこを見ても、妥協がなくきっちりと考え抜かれて、ほんと素敵でした。
では、次回またお会いしましょう。

(横内)