ブログWeblog

ブログトップ

「建築の旅」5

2022.10.21建築の旅

建築の旅-5

今回はシカゴです。

シカゴはかつて鉄鋼で栄えたアメリカ中北部の都市で、五大湖のひとつのミシガン湖に面しています。アメリカ近代建築発祥の地とも言える街で、街中が近代建築博物館みたいな独特の男性的な雰囲気を持っています。
まずはシカゴで一番好きなモナドノックビル(1889ー1991)からです。
モナドノックビルはバーナム&ルートの設計で、いわゆるシカゴ派の建築が当時最先端だった鉄骨造だったのに対して、あえて旧来のレンガによる組積造を外壁に採用しています。黒褐色の外壁は出隅や2階部分及びパラペットに曲面が用いられていることで、組積造ならではプラスティシティ(可塑性)が感じられます。モナドノックとはネイティヴインディアンの言葉で巨大な岩山を示すのですが、まさに大地から立ち上がったような量感がこのビルの魅力です。




次はヘンリー ホブソン リチャードソンのグレズナーハウスです。
リチャードソンはシカゴの建築家ではありませんが、私が好きなアメリカのプレモダンの建築家です。
インテリアもとても素敵ですね。
梁に丸い面取りがしてあるのが柔らかくていいと思います。




次はルイス サリヴァンのカーソン ピリー スコット百貨店。
先ほどのモナドノックビルとほぼ同じ時期の建物ですが、開口部が大きく軽快なファサードにサリヴァンの先進性がよく表れています。
低層部は装飾的ですが、その先進性と装飾性はともに弟子のフランク・ロイド・ライトに受け継がれていきます。



シカゴといえば、ミース ファン デル ローエですね。
これは彼が長年主任教授を務めていたイリノイ工科大学の建築学科校舎です。
ここで教わったら学生はみんなミースみたいになりますよね。


確かに名建築ですが質感が冷たく、exclusive(排他的)な感じがして、あまり好きになれませんでした。
シカゴにはシティホールやレイクショアドライブアパートメントなど、ミースの名建築が他にもありますが、見に行っても写真は撮りませんでした。
デジタルカメラと違って、撮ると現像しなければならず、お金がかかるため、好きでないものは撮っていないのです。


これはシカゴ美術館。
全米屈指のコレクションはもちろん素晴らしいのですが、全面蔦で覆われた中庭がまるで森の中にいるみたいでとても素敵でした。いつか住宅でもこんな庭が作れたらと今でも密かに思っています。




では、次回はシカゴ郊外のオークパークにライトの住宅を見に行きます。
お楽しみに。

(横内)