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「建築の旅」8

2022.11.04建築の旅

こんにちは。前回に続いてライトの建築を訪れます。

相次ぐスキャンダルで低迷していたライトに、ジョンソンワックス社から本社社屋と研究棟の設計依頼が舞い込みます。これに対してライトは世界で最も美しく機能的で独創的なオフィスを作るという強い意志で取り組みました。
高い塔状の建物が研究棟、左手の低層部がオフィス棟で、それらのつなぎの部分にエントランスがあります。


これがアプローチとオフィスのエントランス。
建物全体の構造形式である、マッシュルーム形の柱がすでにここから始まっています。


中に入るとまず吹き抜けのホールがあり、それを抜けると、グレートワークルームと呼ばれる有名なオフィススペースにはいります。
マッシュルームの笠と笠の間はすべてトップライトで、中が中空の柱が縦樋を兼ねていたのですが、雨漏れがひどかったため、この写真を撮った1978年の時点ではトップライトには屋根がかけられて人工照明となっていました。
写真の色が悪いのはそのためです。肉眼で見たら構造は綺麗なクリーム色で、絨毯や家具はライトがチェロキーレッドと名付けた赤褐色で統一されていて、とても暖かい雰囲気の空間でした。


これはエレベーター。真鍮の鳥籠みたいで美しかったです。


開口部はとてもユニークで、内外共にパイレックスチューブという耐熱ガラスの管をシール材で接着して面にしたものを用いています。
「全館の空調換気を機械で行なっているため窓を開ける必要がなく、ペアガラスのように断熱が取れるから」とのこと。光はとてもきれいでした。


研究棟にも同じ素材が使われています。
研究棟は中央のエレベーターコアからカンティレバーのスラブが四周にはね出す、樹木のような構造形式となっています。ライトの有機的建築の考えがもっともよく現れた建築の一つと言えるでしょう。



さらにその数年後、ライトは通称ウィングスプレッドと呼ばれるジョンソンワックス社の社長宅を手がけることになります。
中央の吹き抜けのリビングホールを中心に風ぐるまのように四方に羽根を伸ばしたプランで、250坪ほどもある大きな家です。カメラに全景が収まらないほど。
外観。
レンガと米杉でできてる。キャンティレバーがすごかったです。


リビングホール内部。
中央のレンガのコアにはいくつかの暖炉と空調のダクトが収められています。


暖炉を囲んで、いくつものソファスペースがあります。この家にはジョンソン家が一族で住んでいたみたいです。


公共建築みたいなスケール感です。


これはキッチン。
ダイニング
外観がキャンティレバーの部屋。


以上、ウィングスプレッドでした。
次回はピッツバーグから車で2時間ほど西に行ったベアランの森に、落水荘を見に行きます。

お楽しみに。
(横内)